2016年11月10日木曜日

METバックステージツアー付き観劇チケット 当選者 現地レポート①

 1.現地のメトロポリタン歌劇場【MET】の印象

赤い絨毯に、煌めく星々のようなシャンデリア、黄金の花びらが広がる天井と、とても豪華で大規模な歌劇場。幕間に、バーコーナーでワイングラスを傾けているお洒落な装いの人々もいらして、心華やぐ世界でした。ドレスアップした格好いい人々を眺めるのも楽しかったし、自分自身もお洒落して、非日常感を満喫。もっともカジュアルな格好の人々もかなりいて、気軽にライブでオペラを楽しめること自体、なんて最高の贅沢!思わず、ニューヨークに移住したくなったほどです。

歌劇場の中には、スターが着た豪華な衣装の数々、地下には大スターの舞台写真、シャガールがデザインした舞台衣装の絵などが展示され、時間を持て余すこともありません。



入口から入って右側には、チケット売り場の奥にショップがあって、そのクラシック音楽、オペラのCDDVD・ブルーレイの品揃えの豊富さにはびっくり!お土産にぴったりのグッズもあり。もちろん、オンラインでも購入できますが、あれこれ見ながら買える楽しみを味わえました。

入口から入って左側では、ちょうど期間限定でオペラ《トリスタントとイゾルデ》にちなんだ展覧会、Elizabeth Peytonの<Tristan und Isolde>が開催されていて、舞台鑑賞の後に立ち寄りました。中世を舞台としたトリスタン伝説の中に出てくる、ヤング・トリスタンを題材とした映像作品が、とても印象的でした。



2.バックステージツアー
日本語による丁寧な解説を聞きながら、たっぷり一時間半。とても充実したツアーでした。一緒に参加した友人とともに大満足!今回、バックステージツアーに参加したことで、メトロポリタン・オペラを見るのがますます楽しみになりました。

大道具、小道具、衣装、かつら制作・メンテナンス室。ちょうどリハーサルが行われている部屋を、ドアの外から覗くこともできました。本物そっくりな岩、ウィリアム・テルの弓、スター歌手の名前と時期のタグが、いくつも着けられた豪華な衣装も、いまだに忘れられません。衣装もかつらも、出演者にぴったりのサイズが必要なので、かつら担当の方によれば、かつらは毎年二千以上の数が作られるとか!洗ってセットも必要なので、とても忙しそうでした。

舞台裏では、前日、鑑賞したばかりのオペラ《ドン・ジョヴァンニ》の大道具のセットがスタンバイされていて、一緒に舞台を見た友人とともに感動しきり。憧れのスター歌手の楽屋の中、そして、衣装がぎっしり並ぶ廊下を歩いたことも、なかなか得難い体験でした。歌劇場の裏側が、これほど広くて、いろんな部屋があるのに驚きました。



ところで、観客席は、立ち見席を含めて4000人収容の大規模さ!その各席の見やすい位置に字幕の機械が取り付けられているとか。将来、日本語字幕が出る機械が取り付けられるといいのですが・・・。

この規模で、マイク無しの生歌で声を奥まで響かせる歌手の実力って凄いものがありますが、音響効果を高めるために、使用木材や工法にもこだわりがあるとか。メトロポリタン・オペラは1883年に設立されましたが、旧劇場から場所を移して1966年に完成したこの劇場。劇場の建築自体が凄いことにも感心しました。




3.《トリスタンとイゾルデ》の感想

《トリスタンとイゾルデ》の公演も、非常に素晴らしくて最高でした!!ニーナ・ステンメには、前シーズンの《エレクトラ》で、次元を超絶しちゃった感のある凄い歌声に感動させられましたが、今回のイゾルデ役の歌声も、比類なき美しさ。表現力も豊かで、サイモン・ラトル指揮の素晴らしすぎる演奏とあいまって、今も頭の中でリフレインしてしまうほどです。劇場入口前に、ニーナ・ステンメのポートレートとともに、<THE VOICE MUST BE HEARD>と書かれたポスターがありましたが、まさに今、聴いておくべき歌声だと思いました。


トリスタン役のスチュアート・スケルトン、マルケ王役のルネ・パーペも素敵だったし、待女ブランゲーネ役のエカテリーナ・グバノヴァなど、すべての歌手が完璧!という感じでした。

幕間に、先ほどのワーグナーのメロディを鼻歌で歌いながら廊下を歩いている年配の男性とすれ違ったときには、「この気持ちわかる、わかる~!」と、友人と顔を見合わせて共感。この公演のCD発売が楽しみでなりません。

友人も、この舞台を鑑賞して、はじめてワーグナーの曲の素晴らしさが判ったと興奮しきりでした。

マリウシュ・トレリンスキの新演出は、舞台を現代に置き換え、目新しさ満載の舞台でした。

主人公の心情を投影しているのであろうプロジェクション・マッピングの映像や、さまざまな暗喩が散りばめられ、その謎解きの面白さもあり。休憩を含めて5時間もの大作でしたが、まったく飽きることがなく、夢のようなひとときでした。


4.その他印象に残ったエピソード

ニューヨークのメトロポリタン・オペラ歌劇場へは、今回で二回目です。一回目は私の両親とともに。今回は、ニューヨークもオペラも初めての友人とともに訪れ、当選した《トリスタンとイゾルデ》ライブビューイング撮影公演と、《ドン・ジョヴァンニ》の夜の公演を鑑賞しました。

友人は、ニューヨークを訪れてみて、すっかりニューヨーク好きになり、又、充実したバックステージツアーに参加し、素晴らしい公演を堪能したことで、メトロポリタン・オペラのファンになりました!

オペラ好きの私の父は現在闘病中ですが、また一緒にニューヨークのメトロポリタン・オペラ歌劇場に行くのを励みにしています。

再び、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ歌劇場を訪れることを夢みつつ、これからもライブビューイングを楽しんでいきたいと思います。