2014年5月23日金曜日

ロッシーニ《ラ・チェネレントラ》視聴

※5/10更新※
10作 ロッシーニ《ラ・チェネレントラ》
上映期間:531日(土)~66日(金)
指揮:ファビオ・ルイージ       演出:チェーザレ・リエーヴィ
出演:ジョイス・ディドナート(アンジェリーナ/チェネレントラ)、フアン・ディエゴ・フローレス(ドン・ラミーロ王子)、ルカ・ピザローニ(アリドーロ)、アレッサンドロ・コルベッリ(ドン・マニフィコ)、ピエトロ・スパニョーリ(ダンディーニ)
MET上演日:2014510日   上映時間:3時間24分(休憩1回)

《ラ・チェネレントラ》先行映像1 第二幕 ジョイス・ディドナート(2014年4月18日リハーサルより)


《ラ・チェネレントラ》先行映像2 第一幕 アレッサンドロ・コルベッリ(2014年4月18日リハーサルより)


《ラ・チェネレントラ》先行映像3 フアン・ディエゴ・フローレス(2014年5月6日上演 アンコールより)

《ラ・チェンレントラ》確定上映時間のご案内

5月31日(土)より公開の第10作ロッシーニ《ラ・チェネレントラ》の上映時間が3時間24分(休憩1回 10分含む)に確定いたしました。

詳しいタイムスケジュールはこちらです↓

2014年5月22日木曜日

大人のメルヘンを彩る現代の名手たち〜《ラ・チェネレントラ》の魅力

加藤浩子(音楽評論家)

 《ラ・チェネレントラ》(1817年初演)は、オペラ版「シンデレラ」だ。家族に虐げられている気だてのいい娘が、舞踏会で王子様に見初められ、妨害を乗り越えて結ばれる。原作はシャルル・ペローの童話だが、ロッシーニ作曲のこのオペラ、ガラスの靴やかぼちゃの馬車や魔法使いが登場しないなど、ペローの童話とはちょっと違う。ガラスの靴の代わりは、チェネレントラ(=伊語でシンデレラの意味)が舞踏会で王子様に渡した腕輪だ。

ディドナートが歌う愛すべき感動的な《チェネレントラ》:現地メディア評

 〝アメリカ出身の現代最高のメゾソプラノのジョイス・ディドナートは、まばゆい魅力に溢れ、勇敢で、愛すべき感動的なシンデレラをMETで演じ、大成功を収めた。彼女は茶目っ気たっぷりに微笑みながら、超絶技巧を次々と繰り出し、胸の底から響く低音域からキラリと光る高音に軽やかに歌い上げたファビオ・ルイージは明快で洗練された演奏をオーケストラから引き出した。″
―ニューヨーク・タイムズ
  

ジョイス・ディドナートは溢れんばかりの純粋さと愛らしさ題名役のチェネレントラを演じた。特に華麗な装飾音の旋律が高揚していくところでは、彼女は軽々とさりげなく、極めて優れた技巧と大胆さで歌唱を披露した...  MET首席指揮者のファビオ・ルイージは、力強さと様式美、そして優雅な気品さえもオーケストラピットにもたらした。"
―フィナンシャル・タイムズ

2014年5月17日土曜日

モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》視聴

9作 モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》
上映期間:524日(土)~530日(金)
指揮:ジェイムズ・レヴァイン      演出:レスリー・ケーニッヒ
出演:スザンナ・フィリップス(フィオルディリージ)、イザベル・レナード(ドラベッラ)、ダニエル・ドゥ・ニース(デスピーナ)、マシュー・ポレンザーニ(フェルランド)、ロディオン・ポゴソフ(グリエルモ)、マウリツィオ・ムラーロ(ドン・アルフォンソ)
MET上演日:2014426日     上映時間:3時間46分(休憩1回)

《コジ・ファン・トゥッテ》先行映像 第一幕 (2013年9月21日リハーサルより)

2014年5月16日金曜日

最盛期のレヴァイン が彩る生き生きとした《コジ・ファン・トゥッテ》:現地メディア評

“まさに最盛期のレヴァインである:モーツァルトの奇跡のように素晴らしいスコアを、しなやかに、エネルギッシュに、かつ透明感あふれる表現で描き、キビキビと小気味よく、しかし慌ただしくならず、洗練されていて奥深い長い夜の初めから終わりまで、彼のエネルギーは衰える気配すら見せなかった。”
―――AP

2014年5月15日木曜日

《コジ・ファン・トゥッテ》確定上映時間のご案内

5月24日(土)より公開の第9作モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》の上映時間が3時間46分(休憩1回 10分含む)に確定いたしました。

詳しいタイムスケジュールはこちらです↓

《コジ・ファン・トゥッテ》みどころ:最高のキャストで酔い痴れるモーツァルトの偉大な人間讃歌

國土潤一(音楽評論家)

 “コジ・ファン・トゥッテ”=「女はみなこうしたもの」という題名を、あなたはどう思いますか?

 美しい姉妹を愛した士官2人が、老獪な哲学者とその貞節を試す賭けをして、変装してお互いの恋人を誘惑する。18世紀のナポリを舞台としたこの人間喜劇は、天才モーツァルトの偉大な人間讃歌でもあります。なぜ舞台がナポリなのか?恋人を試す2人は、なぜアルバニアの紳士に変装し誘惑したのか?2人と賭けをした哲学者ドン・アルフォンソは果たして本当に賭けに勝ったのか?そして、題名にある「女はみなこうしたもの」。ならば、男はどうなのか?

《コジ・ファン・トゥッテ》現地インタビュー③ ダニエル・ドゥ・ニース

“ニューヨークのような都会には、とっても若くて、何でも知っているガールズが沢山いるでしょう?デスピーナは、まさにそんなガールズのひとり。とてもパワフルな役です。”

ダニエル・ドゥ・ニース
METの今シーズン《コジ・ファン・トゥッテ》2回目の公演を歌ったばかりのダニエル・ドゥ・ニースとのインタビューは、彼女のボーカルコーチの一人が住むアパートのロビーで行われた。本当は、METのラウンジで行う予定だったのだが、彼女がMETに向かう途中で交通渋滞に巻き込まれてしまい、約束の時間に来ることが不可能になってしまった。そこで苦肉の策として、コーチとのセッションが始まる前に、コーチのアパートのロビーで会うことを彼女の方から提案してくれたのであった。急遽そのアパートまで向かうと、彼女は既に、玄関口の前に立って待っていてくれた。[プレ・ワー(Pre War)]と呼ばれる戦争前に建てられた重厚な建物が建ち並ぶアッパーウェスト・サイドの、天井の高い瀟洒なアパートである。192030年代の雰囲気を残す建物と、すらりと美しい姿勢の彼女のコントラストが、秋の陽を受けていい感じだ。

《コジ・ファン・トゥッテ》現地インタビュー② イザベル・レナード

“2ヶ月のうちに、小澤征爾さんとレヴァインさんとご一緒できたなんて、信じられないです。こんな経験、二度とないと自分に言い聞かせています。”


イザベル・レナード
ワーキング・マザーは、忙しい。今シーズンのMETで《コジ・ファン・トゥッテ》のドラベッラ役を歌うイザベル・レナード(1982年生まれ)も、歌手としてのキャリアと3歳の息子の母親としての役割を軽やかにこなす、ワーキング・マザーだ。インタビューの日、レナードは約束の時間にちょっとだけ遅れてやってきた。外出先から着替えのために自宅に戻ったところ、眠っていた息子が目を覚ましてしまい、彼女を見つけて大騒ぎになったのだという。

2014年5月14日水曜日

《コジ・ファン・トゥッテ》現地インタビュー① スザンナ・フィリップス

 初日のカーテンコールの感動は、生涯忘れられない思い出となりました。”

スザンナ・フィリップス
スザンナ・フィリップスは、今もっとも波に乗っているソプラノのひとりだ。ジュリアードを2004年に卒業、シカゴ歌劇場の研修プログラムを経て、2008年にはMETに《ラ・ボエーム》のムゼッタ役でいきなりデビューした彼女は、以来、毎年のようにMETに出演を続けている。今シーズンのMETでは、ライブビューイングにも登場するレヴァイン復帰作品《コジ・ファン・トゥッテ》のフィオルディリージ役、2011年のMET来日公演でも歌った当たり役《ラ・ボエーム》ムゼッタ役、そしてニューイヤーズ・ イヴにガラ・プレミエされた新演出《こうもり》のロザリンデ役を任された。どの役も公演を引っ張らなくてはならない、重要な役である。

そんな主役を張るディーヴァとしての自覚を、彼女も持つようになったのだろうか。前回あってからまだ3年と経たないフィリップスからまず感じられたのは、その深いブルーでまとめられたシックな装いにも似た、静かな落ち着きである。しかし話し始めると、南部出身らしいエレガントな礼儀正しさと、日本で食べたラーメンが忘れられないとクスクス笑う、3年前と変わらないチャーミングな彼女であった。 

2014年5月6日火曜日

オペラ《ラ・ボエーム》とミュージカル『RENT』


若者たちの青春と悲恋を描くプッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》は、数多くの映画やミュージカルなどに影響を及ぼしてきました。なかでも、《ラ・ボエーム》が原案となった伝説のミュージカル『RENT』は、長年世界中で愛され、トニー賞やピューリッツァー賞も受賞、映画化もされた名作です。物語の舞台はオペラの1830年代のパリ、カルチェ・ラタンから、1990年代のニューヨーク、イーストヴィレッジへ―――。
設定が変わっても、心揺さぶる音楽で描かれる、若く貧しいボヘミアン(放浪芸術家)たちが、厳しい現実のなか、愛と生きる希望を見出し、懸命に生きる姿を描く青春群像劇が両作に共通した魅力です。1896年の《ラ・ボエーム》初演から、ちょうど100年後の1996年にオフブロードウェイで『RENT』が初演されました。登場人物の設定などを比較してみると、時代背景や病気やドラッグなどの社会問題が反映され、興味深いです: