2013年11月29日金曜日

実在のローマの名所が舞台となる《トスカ》

《トスカ》の舞台は永遠の都ローマ。各幕は実在するローマの歴史的名所が舞台となっています。それぞれのロケーションは、テヴェレ川を挟んで徒歩圏内にあり、《トスカ》の物語に想いを馳せると、わずか半日のあいだに繰り広げられる愛と嫉妬と陰謀が絡み合う壮絶なドラマが、真実味をもって胸に迫ってきます。ローマへ旅行の際に、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

【第1幕】聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会

サン・ピエトロ大聖堂に次ぐ、ローマで有数の大きなキューポラ(ドーム)を有し、内部には美しいフレスコ画が並ぶ荘厳な教会。オペラでは、画家であり、潜伏する革命家でもあるカヴァラドッシがこの教会で絵を描いている。脱獄してきた同志の政治犯アンジェロッティと出会い、彼を匿う場所。カヴァラドッシの情熱的で嫉妬深い恋人トスカは、この教会に捜索にやってきた警視総監スカルピアの狡猾な罠に陥ることになる。


【第2幕】ファルネーゼ宮殿

後にローマ教皇パウルス3世となる枢機卿アレッサンドロ=ファルネーゼの命により建設され、16世紀半ばに完成した宮殿。設計にはミケランジェロなども関わった壮麗なルネッサンス様式の建築。現在は、イタリアにおけるフランス大使館として使われている。オペラでは、警視総監スカルピアの執務室が位置する宮殿で、捕らえられたカヴァラドッシが拷問にあい、トスカがスカルピアの胸にナイフを突き刺す修羅場が展開される。

【第3幕】サンタンジェロ城

もともとはローマ帝国皇帝のハドリアヌス帝の霊廟として2世紀に建てられたが、中世以降は、軍事的な要塞や牢獄として使われてきた建物。城の頂上には天使像が設置され、「聖天使城」と呼ばれている。オペラでは、カヴァラドッシがこの城の牢獄に収監され、屋上で処刑される。そして、絶望のトスカが城の塔から身を投げる壮絶なクライマックスの舞台となる場所。