2013年2月28日木曜日

超満員のMETで大喝采!《リゴレット》現地レポート


石戸谷結子(音楽評論家)

アメリカのオペラ演出家のなかで、最も先鋭で革新的な演出家といえば、ピーター・セラーズだが、彼の最高傑作は、ニューヨークのトランプ・タワーの最上階に住むセレブを主人公にした《フィガロの結婚》だった。彼はその演出意図を、「現代のアメリカ人が共感できる舞台を創りたかった」と言っていた。あれから20年近くが経ち、今回アメリカのミュージカル人気演出家マイケル・メイヤーが創りあげたのも、「現代人が共感し、世代や国を超えて通用する演出」(本人)だった。

2013年2月27日水曜日

シナトラ率いる"ラット・パック"の時代と《リゴレット》


今回、METが新演出で贈るヴェルディ《リゴレット》の舞台は、16世紀北イタリアのマントヴァから、400年の時代を移し、1960年代のネオンきらめくラスベガスへ―――。

演出を手掛けるのは、ミュージカル「春のめざめ」でトニー賞を受賞し、「アメリカン・イディオット」などのヒット作を連発するブロードウェイの鬼才、マイケル・メイヤー。彼は、この《リゴレット》というオペラを、現代人がより身近に共感できる作品にするため、16世紀のマントヴァ公爵が浸る快楽の世界を、カネ・権力・セックスが渦巻く1960年代のラスベガス---ある意味、20世紀のアメリカの象徴のような場所---に設定しました。

2013年2月25日月曜日

大当たりの《リゴレット》!現地メディア評のご紹介

現地ニューヨークでは、マイケル・メイヤーの大胆な新演出が話題をさらっています。一足先におこなわれた北米でのライブビューイングでは、あの《アイーダ》を超えて、本作《リゴレット》が今シーズンの最高動員数を記録! 大絶賛の現地メディア評を一部ご紹介します♪

《リゴレット》、大当たり!

この演出を好きにならずにはいられないエンターテインメント性が弾けながらも、独創的で、妙に可笑しく、それでいて途方もなく切ない。マイケル・メイヤーの大胆不敵な演出は、人間の複雑で奥深い心情と、表面的なギラギラしたきらびやかさの両方を描き切っている。観客も最後には大喝采を送った。
――― Bloomberg


権力と悪がすべてをむしばんでいく物語が、独創的なヴィジョンを通して、現代の我々に生々しく迫ってくる。目を見張る豪華セット、きらめく衣装この世界観に思いっきり身を投じている強力な主要キャスト陣。ディアナ・ダムラウは息を呑むほど魅力的ジルダを歌い、公爵役のピョートル・ベチャワは、存在感ある堂々とした美しいテノールを披露している。
―――The Wall Street Journal

リゴレットを演じるジェリコ・ルチッチの歌声は豊かに響き、身体に沁み渡るようでありながら、一途で誠実だそしてフレージングは何ともしなやかでエレガント
――― The New York Times

観客をたまらなく楽しませてくれる大胆な演出
――― Associated Press 


写真(C) Ken Howard/Metropolitan Opera 

2013年2月15日金曜日

ヴェルディ《リゴレット》視聴 ※2/15先行映像追加

9作 ヴェルディ《リゴレット》 新演出
上映期間:39日(土)~315日(金)
指揮:ミケーレ・マリオッティ 演出:マイケル・メイヤー
出演:ジェリコ・ルチッチ(リゴレット)、ディアナ・ダムラウ(ジルダ)、ピョートル・ベチャワ(マントヴァ公爵)、ステファン・コツァン(スパラフチーレ)
MET上演日:2013216日 上映時間:3時間18分(休憩2回)

第一幕「あれかこれか」ピョートル・ベチャワ


第一幕 ディアナ・ダムラウ/ジェリコ・ルチッチ


第一幕「慕わしき御名」ディアナ・ダムラウ


メイキング映像


 

2013年2月1日金曜日

NYで大絶賛!《マリア・ストゥアルダ》現地メディア評


昨年の大晦日に、メトロポリタン・オペラでプレミエ公演の幕が開いたMET初演となる《マリア・ストゥアルダ》。二人の女王を歌うJ・ディドナートとE・V・D・ヒーヴァーをはじめ、大絶賛となった舞台への賛辞を一部ご紹介します♪

とにかく 素晴らしい
ジョイス・ディドナートの濃厚で豊かな、痛切に美しい歌唱は、目指すべき姿として今後語られるであろう。
――― The New York Times

注目のMETデビューを飾ったエルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァーは、光沢ある歌声で、激情的なエリザベス女王を歌い上げた。
――― The New York Times

ベルカントがMETでまさに返り咲いた。文句の付けようが無い舞台である。
―――WQXR(NYラジオ局)

光り輝くパフォーマンス。
――― Associated Press

ディドナートは、この上なく見事にバランスがとれた、際立って繊細な歌唱を披露した。
―― Financial Times

視覚的にも魅力があふれた、最高級の贅沢。
――― The Wall Street Journal

この壮麗な音楽と熱情的なドラマに満ちたステージは、オペラファンにとって最高の大晦日のプレゼントとなった。
――― The New York Times
 

あまりにも有名な悲劇の女王、メアリー・スチュアート


その波乱万丈で悲劇的な生涯が、数多くの文学作品や映画などで描かれてきた悲劇のスコットランド女王、メアリー・スチュアート。『クィン・メアリー 愛と悲しみの生涯』や『エリザベス:ゴールデンエイジ』などの映画でも、彼女の物語を知った方も多いかもしれません。

ドニゼッティの傑作オペラ《マリア・ストゥアルダ》(英語:メアリー・スチュアート)をさらに楽しんでいただくために、悲劇の女王メアリー・スチュアートと、彼女の終生のライバル、エリザベス1世の歴史的背景を簡単にご紹介いたします。